研究開発

スピーチプライバシー

スピーチプライバシーとは?

普段の暮らしや仕事の中で、誰かの会話が聞こえてきてしまう場面は無数に存在します。そしてそこには大きく分けて2つの問題があるとされています。例えば廊下に漏れ聞こえる重要な会議の会話には、「漏洩」の問題があり、またオフィスで否応なしに聞こえてくる会話・雑音には、時として不快感を生じさせ生産性を低下させる「侵害」という問題が潜んでいます。スピーチプライバシーとは、これら問題を防ごうとする考え方です。

サウンドマスキング

従来のサウンドマスキングでは、擬似空調音で作ったマスキング音を大音量で再生し、その音で会話を聞こえにくくする「エネルギーマスキング」と呼ばれる手法が主流でした。このエネルギーマスキングは会話の情報を消すためにはポピュラーな手法でしたが、そもそも擬似空調音が雑音であるがゆえに、人に与える不快感などが課題とされていました。 そこでヤマハの提案する新しいサウンドマスキング「情報マスキング」技術は、カモフラージュの原理を応用し、人の音声から作り出したマスキング音によって会話の情報を消します。エネルギーマスキングとは異なりマスキング音が雑音ではないことや、比較的小さな音でマスキングを行うことができるため、従来技術の課題であった人への不快感を大幅に低減することができました。

上の図はエネルギーマスキングと情報マスキングの概念を可視化したものです。 エネルギーマスキングが「塗りつぶし」のイメージであるのに対し、情報マスキングは迷彩でカモフラージュをするイメージとなっています。

マスキング音

「情報マスキング」技術において用いられているのが、新しく開発されたマスキング音「撹乱音」です。この撹乱音は人の音声を基にして合成されているため、再生するとその撹乱音の中に会話が溶け込み、「何かが話されているが、その内容は聞き取れない」ようになります。人には不快感を与えず、音声の情報のがまるでカメレオンのように姿を消す。これこそヤマハが「情報マスキング」として新たに提案する技術なのです。

ヤマハの「情報マスキング」技術が革新的なのは、マスキング音に撹乱音を利用しているからだけではありません。スピーチプライバシーの求める生産性向上のためには快適な環境を提供することも欠かせません。そこで「撹乱音」に川のせせらぎや鳥の声といった環境音を組み合わせ、心地よさを犠牲にしないマスキング音として完成させることができました。

性能評価

会議の音漏れが懸念されていた建物に「情報マスキング」技術を適用することで、会話の漏洩保護エリアが無対策時に比べて90%の向上を見せました。これは、部屋の外ではほとんど何の会話がなされているかわからないほどのレベルに達していることを示しています。

ヤマハでは財団法人建設工学研究会と共同研究を行い、「情報マスキング」技術を定量的に評価し、その結果を国内外の学会にて発表しています。研究の結果、従来のエネルギーマスキングに比べて小さな音のマスキング音でも会話の意味を理解させないことに十分な効果のあることが分かりました。

右図の縦軸は単語が理解できてしまう度合いを示しており、数値が大きくなるほど会話の内容が聞き取れてしまうことを表しています。一方で横軸は、マスキング音に対するターゲット音(会話音)の大きさを示しており、グラフの右側に進むにつれてターゲット音が大きくなることを表しています。

実験の結果、一定のマスキング音の大きさで単語了解度0.4の性能を出したいとき、ヤマハのマスキング音は従来のマスキング音に比べてターゲット音が10dB大きくなっても問題がないことが明らかになっています。これはすなわち、マスキング音が従来のものに比べてより小さな音で済むということなのです。

受賞

日本音響学会 第31回粟屋潔学術奨励賞受賞
「薬局におけるサウンドマスキング評価方法の実験的検討」
http://www.asj.gr.jp/recommending/03_awaya.html

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